昭和薬科大学|研究の現場から:レベル高い日本の医療

愛媛大大学院医学研究科医療情報学・石原謙教授
 医師不足ドラッグラグ(新薬の承認が欧米より遅れて国内で使えないこと)など、近年の日本の医療を危ぶむ声は多い。だが、愛媛大大学院医学研究科医療情報学の石原謙教授(57)は「日本の医療はレベルが高い」ときっぱり。「日本の医療レベル、医療制度の本当の姿をきちんと見てもらうために、正しい情報を伝えたい」と、医療費や治療成績などのデータを基に調査、発表している。
 石原教授によると、経済協力開発機構OECD)のデータなどでは、日本のがんや糖尿病など多くの疾患の医療レベルは高く、健康達成度は世界トップクラス。一方で、医療に対する満足度は最低ランクだという。「医療や健康は恵まれているのに、不安感、不信感は強く持っている」と指摘する。
 その結果、日本人は医療関連などの民間保険に、他国に比べて圧倒的に多く加入しているという。公的な医療保険や、自己負担が上限を超えると医療費の払い戻しを受けられる「高額療養費制度」でまかなえる場合が多いといい、「日本人は民間保険の負担が大きすぎて、消費活動が抑制されている。医療は、経済や財政の面からも考えないとよくならない」と話す。
 本来は循環器内科医師。10年程前、日本医師会シンクタンクの研究部長になり、医療の現状調査を始めた。
 「日本医療のレベルの高さを理解してもらいたい。まずは医療関係者から」と、月に数回、全国の病院などで調査結果を講演。今後は市民にも伝えていきたいという

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