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薬事・食品衛生審議会薬事分科会は昨年末、ヤンセンファーマの「レミニール」、第一三共の「メマリー」など、新規のアルツハイマー認知症治療薬2品目の承認を了承した。また、そーせいが開発した、性行為後に服用しても妊娠を回避できる緊急避妊薬「ノルレボ」も分科会を通過。早ければ、今月末にも正式に承認される見通し。

【審議品目】
 ▽メマリー錠5mg、同10mg、同20mg(第一三共が製造販売):有効成分はメマンチン塩酸塩。中等度および高度アルツハイマー認知症における認知症症状の進行抑制を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
 同剤は、NMDA受容体拮抗薬。既存薬のアリセプトとの併用が可能となった。海外では68カ国で承認されており、標準的治療薬の一つとして位置づけられている。
 ▽プラザキサカプセル75mg、同110mg(日本ベーリンガーインゲルハイムが製造販売):有効成分はダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩。非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中、および全身性塞栓症の発症抑制を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
 同剤は、血栓の形成に関与するトロンビンの活性を特異的に阻害するという新しい作用機序を持つ。米国などで承認されている。
 ▽ノルレボ錠0・75mg(そーせいが製造販売):有効成分はレボノルゲストレル。「緊急避妊」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。海外48カ国で承認されている。
 国内では、性交後に服用する避妊薬は承認されていない。パブコメを募集した結果、賛成が463件、反対が114件、その他1件だった。反対意見として多かったのは、[1]合成黄体ホルモンの働きにより女性の健康を害する恐れがある[4]着床早期の受精卵を排出させる[2]若年者の性に対する安易な考えを助長する[3]性感染症の蔓延につながる――など。
 これらの懸念に対し厚労省が、[1]単回投与のため、血栓症や乳癌のリスクがない[2]中絶作用はない[3]医師の処方が必要であり安易な入手ができない――などを委員に説明したところ、了承が得られた。保険適用については、避妊目的のピルが保険適用されていないことを考慮すると、不適用となる見込み。
 ▽ロミプレート皮下注250μg調製用(協和発酵キリンが製造販売):有効成分はロミプロスチム。慢性特発性血小板減少性紫斑病を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。
 同剤は、トロンボポエチン受容体作動薬で、類薬はグラクソ・スミスクラインのレボレード錠。希少疾病用医薬品のため、全例調査の承認条件がついた。海外11カ国で承認されている。
 ▽ステラーラ皮下注45mgシリンジ(ヤンセンファーマが製造販売):有効成分はウステキヌマブ(遺伝子組み換え)。既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症乾癬を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。海外52カ国で承認されている。
 承認条件として、全例調査のほか、免疫抑制によって感染症のリスクが高くなるため、1年にわたり1500症例を目標にした、大規模な長期製造販売後調査、最長3年間の追跡調査が付された。
13品目の新薬も登場へ

【報告品目】
 ▽ナーブロック筋注2500単位(エーザイが製造販売):有効成分はB型ボツリヌス毒素。効能・効果は、頭を支える首、肩などの筋肉が自分の意思に関係なく収縮し、頭部が傾いたりする「痙性斜頸」。ボトックスを患部に筋注することで、頸部の痛みを抑える。再審査期間は8年。
 ▽シュアポスト錠0・25mg、同0・5mg(大日本住友製薬が製造販売):有効成分はレパグリニド。効能・効果は、2型糖尿病における食後血糖推移の改善。ただし、[1]食事療法・運動療法のみ[2]食事療法・運動療法に加えてα‐グルコシダーゼ阻害薬を使用――のいずれかの治療で、十分な効果が得られない場合に限る。速効型インスリン分泌促進薬で再審査期間は8年。
 ▽フェブリク錠10mg、同20mg、同40mg(帝人ファーマが製造販売):有効成分はフェブキソスタット。痛風高尿酸血症を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
 ▽レミニール錠4mg、同錠8mg、同錠12mg、同OD錠4mg、同OD錠8mg、同OD錠12mg、同内用液4mg/mL(ヤンセンファーマが製造販売):有効成分はガランタミン臭化水素酸塩。軽度および中等度のアルツハイマー認知症における認知症症状の進行抑制を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
 ▽ノルスパンテープ5mg、同10mg、同20mg(ムンディファーマが製造販売):有効成分はブプレノルフィン。治療困難な変形性関節症および腰痛症に伴う慢性疼痛における鎮痛を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。海外30カ国で承認されている。承認条件として、処方できる医師、調剤できる薬局を登録制にするほか、処方医による特定の講習の受講などがついた。
 ▽エディロールカプセル0・5μg、同0・75μg(中外製薬が製造販売):有効成分はエルデカルシトール。骨粗鬆症を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。海外での承認はない。
 ▽はしか風しん混合生ワクチン「北研」(北里研究所が製造販売):有効成分は乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン。効能・効果は、麻しんおよび風しんの予防。再審査期間は8年。既存薬に、阪大微生物病研究会の「ミールビック」、武田薬品の「タケダ」などがある。
 ▽ビダーザ注射用100mg(日本新薬が製造販売):有効成分はアザシチジン。効能・効果は、骨髄異形成症候群。オーファン指定のため、再審査期間は10年。海外43カ国で承認済み。骨髄異形成症候群治療薬としては、昨年8月に承認されたセルジーンのレブラミドカプセルがある。承認条件として、全例調査が付された。
 ▽ソニアス配合錠LD、同HD(武田薬品が製造販売):有効成分はピオグリタゾン塩酸塩とグリメピリド。2型糖尿病(ただし、ピオグリタゾン塩酸塩およびグリメピリド併用による治療が適切と判断された場合に限る)を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間は4年。
 ▽アルタットカプセル37・5、同75(あすか製薬が製造販売):有効成分はロキサチジン酢酸エステル塩酸塩。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などに対する小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。H2ブロッカーで、小児用量が設定されている国はないという。
 ▽アリクストラ皮下注5mg、同7・5mg(グラクソ・スミスクラインが製造販売):有効成分はフォンダパリヌクスナトリウム。急性肺血栓塞栓症および急性深部静脈血栓症の治療の効能・効果を追加とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は2015年4月17日まで。海外64カ国で承認されている。
 ▽エンセバック皮下注用(化学及血清療法研究所が製造販売):有効成分は乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン。日本脳炎の予防を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
 細胞培養法を用いた日本脳炎ワクチンとしては、阪大微生物病研究会のジェービックVに次いで2番目。製造販売後に重篤な副作用に関するデータ収集や、その段階的評価の実施などが承認条件として付された。
 ▽オルベスコ50μgインヘラー112吸入用、同100μgインヘラー112吸入用、同100μgインヘラー56吸入用、同200μgインヘラー56吸入用(帝人ファーマが製造販売):有効成分はシクレソニド。気管支喘息の小児用量を追加とする新用量医薬品。再審査期間は残余期間の15年4月17日まで。製剤は劇薬・毒薬に該当しない。小児用量は海外16カ国で承認されている。
 新規格は、100μgインヘラー56吸入用。成人は通常、100〜400μgを1日1回投与するのに対し、小児用量は100〜200μg。
2品目をスイッチ
 この日の分科会では、11月の一般用医薬品部会を通過していた、スイッチOTC2品目の承認も了承した。
 ▽アンチスタックス(日本べーリンガーインゲルハイムが製造販売):有効成分は赤ブドウ葉乾燥エキス混合物。効能・効果は、軽度の静脈還流障害による、足(ふくらはぎ、足首など)のむくみ、むくみに伴う足のだるさ、重さ、疲れ、つっぱり感、痛みの改善。同剤は、医療用医薬品として承認された新規有効成分が直接、一般用医薬品として承認されるダイレクトOTC薬。
 ▽エンペシドL、エンペシドレディ(佐藤製薬が製造販売):有効成分は、クロトリマゾール。効能・効果は、膣カンジダの再発。過去に医師の診断・治療を受けた人が対象。3日間使用しても症状の改善が見られないか、6日間使用しても症状が消失しない場合は、医師の診療を受ける。