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厚生労働省医薬食品局は、「医薬品・医療機器等安全性情報」(275号)で、インスリン分泌刺激ホルモンのインクレチンによる血糖コントロール作用を利用した、新たな2型糖尿病治療薬「DPP‐4阻害薬」「GLP‐1受容体作動薬」の副作用報告を解説している。


 DPP‐4阻害薬は、インクレチンを不活化する酵素「DPP‐4」を阻害する製剤。最初に承認されたシタグリプチンリン酸塩で、2009年12月11日の販売開始から約4カ月間の市販直後調査中に、29例で低血糖が発現した。

 同剤投与との因果関係を否定できない症例は、意識消失まで至った8例を含む25例で、うち21例は、インスリン分泌を促すスルホニルウレア剤(SU剤)を併用しており、8例では、各SU剤の維持用量を超えて最大用量を投与していた。また、意識消失した症例のうち6例は、SU剤を併用していた。

 GLP‐1受容体作動薬は、インクレチンのアナログ製剤で、GLP‐1受容体に結合してインスリンの分泌を促す。そのため、そもそもインスリン分泌能のない1型糖尿病患者への投与は禁忌となっており、2型糖尿病のうちインスリン治療が不可欠な患者への投与には注意が必要とされていた。

 しかし、リラグルチド(遺伝子組み換え)で、昨年6月11日の販売開始から約3カ月間の市販直後調査中に、糖尿病性ケトアシドーシスによる死亡が2例発生。いずれもインスリンからリラグリチドへ切り替えていたため、直ちに厚労省はメーカーに情報提供を指示したが、その後も類似症例が集まり、10月7日までの累計で、糖尿病性ケトアシドーシスは死亡2例を含む4例となり、うちインスリンからの切り替え症例は3例だった。

 また、死亡例はなかったものの、高血糖が16例発生し、うち14例がインスリンから切り替えていた。合計20例の報告のうち、17例がインスリンからの切り替えとの因果関係が否定できないという。

 さらに、日本糖尿病協会と日本糖尿病学会のウェブサイトで、専門家による独立委員会が、患者がインスリン依存状態か非依存状態かを評価評価した上で、リラグルチドの使用適否を判断するよう求めていることも紹介している。

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