昭和薬科大学 |コラム転載(処方薬にポイント付与を読み解く3つの視点)

薬剤師の皆様、こんにちは。

最近、保険調剤へのポイント付与についての話題が沸騰していますね。


処方薬の患者負担分の値引きは健康保険法で禁じられており、
ポイント付与も違法との見方が業界内でも主流でした。

しかし、今秋に厚生労働省
「調剤の支払に対してポイントを付与することは制限されない」
との見解を示したことで、
調剤窓口以外の店頭でポイント付与をしてきたドラッグストア各社が
調剤部門にも対象を広げはじめています。


日本薬剤師会や日本保険薬局協会は、
「実質的な値引きである」
保険薬局の本来業務を考えれば不適切なサービス行為」
などの見解と共に強い反発の姿勢を示しています。

また、ポイントによる過剰な商業サービスによって患者を奪われかねない
個人や小規模の調剤薬局では死活問題となっています。

しかしながら、現時点ではこの調剤におけるポイント問題を規制することは困難な状況のようです。

医療費の支払いにはクレジットカード利用が認められていますが、
厚生労働省は、調剤の患者負担分をクレジットカードで支払えば
クレジットカードのポイントが付くことを例示して、
クレジットカードによる支払いが規制されていない現状では、
ポイントの付与を規制することは難しい
との見解を示しているようです。


また、そもそもポイントサービスには、物販店舗で実施される
”ポイント2倍キャンペーン”などの付与についても制限するものはないとのことです。

つまり、調剤事業そのものが、物販事業と同じ販売促進の仕組みの中で
コントロール可能だとあらためて確認されたということでもあり、薬剤師の皆さんにとっても
考えさせられることだと思います。

保険調剤が医療保険を使った公定価格(薬価)の公共サービスである、
ということが抜け落ちている商業的な考え方には強い違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。


一方の患者である利用者の意見としては、
たまったポイントは各ドラックストアの医薬品や日用品に代えられるためウケがいいとのことです。

「処方薬でポイントがつくとは思わなかっただけにかなり得した気分になった」
というような声も聞かれています。

今回のポイントサービス導入が拡大していく中で、
患者が薬局を選ぶ際に「ポイントが付いてお得なところ」という新しい基準が浸透していくことは、
地域密着の薬局が長年培ってきた地域の患者との信頼関係や、
密な服薬指導などの薬剤師の職能が発揮される領域が薄れる側面もあります。

現場の薬剤師の方々からも様々な意見が上がっているようです。

おさらいです。
?厚生労働省の見解は、「調剤の支払に対してポイントを付与することは制限されない」
?調剤事業そのものが、物販事業と同じ販売促進の仕組みの中でコントロール可能
?利用者の意見は、「ポイントが付いてお得なところ」という新しい薬局選びの基準


このように、利用者が新たな薬局選びの基準を見つける中で、
薬剤師として働く皆さんが職場を選ぶ基準とは何でしょうか。
これまでと同じで良いのでしょうか。

今一度、ご自身にとっての薬剤師としての今後を考える機会としてみては
いかがでしょうか。

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