昭和薬科大学|薬事ニュース

薬学教育協議会(望月正隆代表理事)はこの度、2010年3月の「薬科大学卒業生・大学院修了者就職動向調査の集計報告」を発表した。このうち学部生に関しては、今年は新制度における薬学科等の“5年生”が初めて誕生し、4年制の卒業生は基礎研究者等を養成する薬科学科等に限られたことから、集計結果は例年と比べて大きく変化。全卒業生数は1159人(男性759人・女性400人)で、09年3月の全卒業生数1万693人(男性4598人・女性6095人)と比べて89・2%も減少した。
 調査は全国の薬科大学・薬学部(74学部)を対象としたもので、回答は国立14校、公立3校、私立31校の合計48校から得られた。なお、旧制度の学生でやむを得ない事情により10年3月に卒業した者については、報告から外された。

非就職者の9割以上が進学

 全卒業生1159人のうち進学者は830人(男性573人・女性257人)で、割合は昨年の25・0%から71・6%へと大幅にアップ。非就職者900人中に占める進学者の割合は92・2%に上った。同協議会の百瀬和享・業務執行理事は本紙の取材に対し、進学者の多さについては、「十分予想していた」とコメント。ほとんどの進学先は大学院と見られ、「特に国公立大学の卒業生の殆どが、大学院へ進学すると考えていた」とも述べた。ちなみに男女別の進学者の割合は、男性が75・5%、女性が64・3%だった。
 ちなみに進学者の割合は00年に20%を超え、02年以降は25%以上をキープ。07年には最高で31・3%をマークしている。女性の高学歴化が進んだことや、医療薬学系大学院の設置で定員が増えたことなどが要因とされている。

就職者は全体の22・4%、うち3割強が薬局へ

 今年の就職者数は259人(男性142人・女性117人)で全体の22・4%だった。
 そのうち最も多かったのは、薬局勤務の95人で8・2%(前年32・5%)。次いで企業の営業が25人で2・2%(同5・9%)、病院診療所(私立)の薬局勤務が21人で1・8%(同14・4%)だった。
 新制度においては、4年制課程を卒業しても薬剤師国家試験受験資格は得られないが、調査結果によると、薬局勤務者は薬局・病院診療所を合わせて120人を超えた。このことについて百瀬氏は、「予想外のことで、免許を必要としない部門への就職などが考えられる」とコメント。同協議会では詳細を調査中とのことで、結果については今後、ホームページ等での公表を検討しているという。
 92年には僅か5・2%だった学部卒業生の薬局勤務は、医薬分業の進展や病院薬剤部での採用抑制などから増加傾向にあり、昨年は32・5%にまで達していた。今年の薬局勤務者は全卒業生数に占める割合こそ大きく減少したものの、全就職者においては36・7%(前年47・7%)を占めている。

初任給は概ね例年通り

 就職者全体の初任給の平均は約23・6万円で、昨年度と同額であった。勤務先による比較では、薬局は24・9万円(同24・8万円)で昨年度とほぼ同額。病院薬剤部の初任給は20・8万円(同21・2万円)でやや減少した。医薬品販売業の初任給も25・9万円(同26・6万円)で減少した。
 年々増加傾向にある、初任給が30万円を超える者の割合は、今年は6・5%(給与の判明した139人中の9人)で、昨年の6・7%(4849人中の323人)とほぼ同じだった。業種別では医薬品の一般販売業に多く、給与の判明しなかった6人を除くと、12人中5人が該当した。

来年以降は「予測困難」

 引き続き学部卒業生が出ない来年度の就職状況について百瀬氏は、「十分な資料がないので予想は難しい」とコメント。また、6年制初の卒業生が誕生する再来年についても、再び昨年以前の傾向に戻るかどうかは、「新たな国家試験出題基準が採用されることなどもあり、的確な予測が難しい」とした。
 なお、かつては男性卒業生の3割以上を占めていたものの、ここ数年は1桁%に低迷している製薬企業への就職については、「これまでの傾向から見れば相変わらず困難」との見解を示した。

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